「合コン意味ない説」は本当?運命の出会いをもたらす弱いつながりという考え方
恋の始まりにつながる出会いという視点で、合コンや飲み会は非効率的と考える方も少なくないのではないでしょうか。「合コン意味ない説」に社会学と文化人類学が答えを出してくれます。
新歓コンパや新人歓迎会、お花見など、カレンダーが新しくなるシーズンは飲み会や合コンの機会が増えるものです。
みんなで集まって楽しい場も多いですが、一方で、
「正直、初めての人と会うのは面倒くさいなぁ」
「先輩に気を使うのは疲れるから行きたくないな」
と参加するのに二の足を踏む集まりも少なくありません。
では、恋の始まりにつながる出会いという視点で、合コンや飲み会を見た場合、数多く参加するほうがチャンスは増えるのでしょうか。それとも「ここぞ!」という場だけに絞ってピンポイントで攻めるのが正解なのでしょうか。
その問題に社会学と文化人類学が答えを出してくれます。
新たな世界に飛び出したいとき、頼りになるのは「弱いつながり」
1970年代に「弱いつながり」「強いつながり」という考えを発表したのは、スタンフォード大学の社会学者であるマーク・グラノヴェッターです。
彼は、転職したばかりの専門職、技術職、管理職に就いている人たちが、仕事の情報を誰から得たのかを調査。その結果は、意外なものでした。
家族や恋人、親友、学生時代の友人、会社のごく親しい人など、「強いつながり」から転職の情報を得ている人が17%だったのに対して、昔一緒に仕事をしたことがある取引先の担当者、子どもつながりのパパ友やママ友、ご近所さん、趣味や地域活動の仲間など、「弱いつながり」から得た人が28%。
つまり、多くの人は「弱いつながり」から人生を変えるターニングポイントとなるチャンスを得ていたのです。
一見すると、「弱いつながり」よりも「強いつながり」のネットワークの方が頼りになりそうです。たしかに日常において手を差し伸べ、助けてくれるのは身近な人たちでしょう。
しかし、「強いつながり」でつながった人たちはあなたと似たような環境で生活しています。
つまり、新しい世界に飛び出したいとき、今いるコミュニティの外にチャンスを求めるときは、自分とは異なる環境にいる「弱いつながり」の人たちとの間が役立つのです。
「弱いつながり」だからこそ、合コンや飲み会が重要になる
続いて、「弱いつながり」が恋のチャンスとどうつながっていくかを考える上で、こんな質問をしたいと思います。
「今、あなたが交友関係を結んでいると思える人数は?」
友人、知人、会社の同僚、学生時代の仲間など、家族を除く、交友のある人たちの顔を思い浮かべてみてください。何人くらいになったでしょうか。
じつは、イギリスの文化人類学者であるロビン・ダンバー教授は、研究の結果、人が「つながり」を持てるのは150人という説を発表しています。
この数字は教授の名前からダンバー数と呼ばれ、「それぞれと安定した関係を維持できる個体数の認知的上限」と定義されています。
ダンバー教授の説明によると、ダンバー数の範囲は「信頼と責任を持って接する人たち、過去に個人的な関係を持ったことのある人たちの数」だそうです。この研究の土台になっているのはサルの研究で、教授は大脳新皮質のサイズからこの数字を導き出しています。
つまり、脳の機能として定期的に連絡を取り合って交友関係を維持できる人数は150人だということです。
そう考えると、「弱いつながり」の及ぶ範囲は意外に狭いと感じるのではないでしょうか。あなたが知ることのできる交友相手の限界は150人。学校に置き換えると約4クラス、大企業ならば同期の数だけでもいっぱいになってしまいます。
だからこそ、合コンや飲み会へ積極的に顔を出し、「弱いつながり」を広げることが重要なのです。
出会った人にあなたのことを覚えてもらうと、輪が広がる
というのも、あなたが相手のことを把握している150人の向こうには、1人につき150人の「つながり」があります。
あなたがよく知る範囲の限界は150人かもしれませんが、あなたのことを知っている人はダンバー数に関係なく広げていくことができるのです。
合コンや飲み会で初対面の人と「弱いつながり」を作ることで、その場で恋が始まらなかったとしても、次のチャンスを呼び込んでくれます。「弱いつながり」を増やすことは、すなわち恋のチャンスをたくさん集めるということなのです。
とはいえ、出会った人すべてを覚えておくのは難しいもの。そこで役立つのが、自分の夢や恋愛観を薄く語り、会話をすることです。
「自分はこういう仕事をやりたい」
「こんな人と出会いたい」
「彼氏、彼女と付き合い始めたら南の島に旅行に行ってみたい」
など、あなたの好きなこと、得意なことをアピールし、出会った相手やまだ見ぬ「弱いつながり」の向こう側の気になる人に貢献できることを宣言しましょう。
すると、ダンバー数の限界を越えて「弱いつながり」が広がっていき、「あ、そういえば、あんな人がいたな」と、意外な人からあなたへステキな異性を紹介する連絡が届く日がやってくるかもしれませんよ。